こんにちは、ダイソウモータース(車検のコバック桑名店)副店長の諏訪です。
当店にはよく
「他店さん(主にディーラー)に修理や車検の見積りをしてもらったら、あまりにも高額なので、ダイソウモータースにも相見積りで来てみた」
というお客様がいらっしゃいます。
もちろん相見積りに来ていただくのは大歓迎なのですが(笑)、その他店さんの見積りを拝見すると「まぁこれくらいの金額になるのは当然だよね」と他店さんに共感してしまう事も珍しくありません。
特に自動車関係は専門知識が必要になる部分が多々ありますし、部品代もそれなりに高額となるため、よほど車に詳しい人でない限り、だいたいの金額を想定する事すら難しいと思います。
そこで今回は、この記事をご覧のあなたに少しでも自動車業界のお金に関わる部分を知っていただくため、
「自動車整備・修理の工賃や費用の決め方」
について紹介していきたいと思います!
工賃 = 点数 × レバレート
作業工賃は、
- その作業の【点数】(=作業時間)
- 1時間あたりの【基本工賃】(=レバレート)
によって決まります。
まず【点数】とは、その作業を完了するまでに掛かる作業時間のこと。
1時間かかる作業なら点数は「1.0」となり、30分かかる作業なら点数は「0.5」という感じです。
この点数は、日本自動車整備振興会連合会が発行している「標準作業点数表」にて、車種ごと・作業ごとに指標となる点数が以下のように決められています。
ただし、標準作業点数表に載っている点数はあくまでも指標であり、実際に作業する整備士からすると「多すぎる」「少なすぎる」というものもありますので、整備士と相談の上、お客様への見積り・請求時の点数を多少調整する事がありますが、どの店舗も概ね点数表通りに設定していると考えていただいて問題ありません。
次に【レバレート】とは、1時間あたりの基本工賃のこと。
詳細は下記で説明していますが、このレバレートが店舗ごとに異なる部分であり、レバレートによって最終的な工賃が決まります。
例えば「レバレート:9,000円」の店舗で「点数:0.4(24分)」の作業をした場合、
< 工賃 = レバレート9,000円 × 点数0.4 = 3,600円(税抜)>
というのが最終的な工賃というわけです。
レバレート = 人件費・・・だけではない
ここまでで「点数」「レバレート」と「工賃」についてはご理解いただけたかと思いますが、よく勘違いされるのが
「レバレートって、要するに人件費でしょ?」
という点です。
もちろん間違いではないのですが、正解というわけでもありません。
何故なら店舗(会社)経営に必要なのは人件費だけではないからです。
自動車整備工場の場合、リフトや検査ラインなどの設備・整備のための工具・パーツクリーナーといった小さい消耗品、更には店舗を構えるための土地も必要となります。
また人件費についても、整備士以外の社員(管理職、営業、事務、アルバイト・パート等)が多ければどうしても高くなっていきます。
特に各メーカーのディーラーさんにもなると、社員・設備ともにそれなりの規模となりますから、どうしてもレバレートを高く設定せざるを得ず、それに伴い工賃も高くなってしまう傾向にあるわけです。
更に営利企業である以上、利益を追求するのは当然ですので、レバレートには利益も含まれています。
その結果、レバレートのおおまかな相場としては
- 街の車屋(モータース):6,000 ~ 8,000
- 国産車ディーラー:7,000 ~ 9,000
- 外車ディーラー:10,000 ~
これくらいになってくるかなと。
ただしこれはあくまでも参考値で、地方によって金額は変わってくると思いますので、大体の目安としてお考えいただければと思います。
ちなみに、事故をした際の自動車保険を使った修理(主に鈑金・塗装の修理)の場合は、通常設定しているものとは異なるレバレートで修理金額を決める場合があります。
これは、店舗と保険会社の間でレバレートに関する協議が行われた上で、最終的な修理金額が決定されるからです。
なお基本的に、保険会社の方が立場が上のため、レバレートを下げられる傾向にあります。
それが問題となり、最近は裁判だったり自動車協会が動いたりしていますが、はたしてどうなる事やら、、、。
中古部品・リビルト部品を使えば安くなるが、、、
自動車整備・修理には工賃だけでなく「部品代」がどうしても必要となってきます。
部品交換する場合、できるなら【新品】を使った方がもちろん良いのですが、予算や「その車をいつまで乗るか」などの事情によっては、新品を使うこと自体が「もったいない」という事も出てくるかもしれません。
そういう場合、部品にもよりますが新品以外の選択肢も出てきます。
その選択肢とは「新品(純正)」「新品(社外品)」「リビルト品(再生品)」「中古品」の4つ。
それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
【新品(純正)】
その名の通り、車両メーカーが作っている新品。
少し高い事が多いが、間違いはない。
【新品(社外品】
車両メーカーが作っているものではないが、純正と同等の新品部品。
純正品より少し安く済む事が多い。
ぶっちゃけ、品質は純正新品と大差ないため、よほどのこだわりがなければ社外新品で全く問題ない。
【リビルト品】
中古品を分解・洗浄し、一部劣化している部分を交換して再構築した再生中古品。
値段はだいたい新品の2/3~3/4くらい。
全ての部品にリビルト品が存在するわけではないが、オルタネーターやエアコンプレッサーなど、ASSYとして設定されている部品にはリビルト品がある事が多い。
あくまでも中古品ではあるが、保証が付いている事があったり、普通の中古品よりも長持ちしたり、にも関わらずそれなりに安かったりと、お得に済ませたい人にとって非常に助かる存在。
我々もお客様に安く提案できるようになるので、店側からしても神のような存在。
【中古品】
解体車などから外した中古部品で、リサイクル業者や、それこそヤフオクなどで出品されている事もある。
値段はピンキリ。
当然保証も無いし、いつ壊れるかも分からないため、店側としても勧めづらい。
店舗によっては中古品を扱わない所もある(特にディーラーさん)ため要注意。
(ちなみに当店では、お客様から要望があれば中古品も探します。)
上記の通り、もしリビルト品の設定があれば、部品の寿命や保証などを考えてもリビルト品が一番お得かなといった感じです。
逆に中古品については、店側としても扱いにリスクを伴う(いくら保証が無いと言っても、すぐに壊れたらクレームの原因となります、、、)ので、全く扱わない店舗も普通にあります。
ですので中古品を希望する場合、事前にその店舗に問い合わせてあげてください。
以上、工賃(レバレート)や部品といった、自動車整備に掛かる費用の仕組みについて解説させていただきました。
自動車整備については色々とブラックボックスになっている部分が多く、知識が無いと全く分からないという部分が多いかと思います。
それ故、自動車業界はある意味「不正しやすい」といった側面を持っていたのですが、ここ最近はビッ◯モーターを始めとした自動車業界の不祥事が多く明るみとなり、そういった不正は淘汰される流れになってきているのは間違いありません。
とは言え、完全に不正が無くなったかというとそういうわけでもないと思いますので、この記事を読んでもらった“あなた”にはしっかり知識を得ていただき、「無知ゆえの搾取」をされないように気をつけていただければ幸いです。